最近、競うように「はあちゅう」の本を読むのが職場で大流行しています。


もし37歳妻1人子1人の会社員がはあちゅう(@ha_chu)の『恋愛炎上主義。』を読んだら : たのっちのぶろぐ


隣の席のたのっちさんもハマってる。


というわけで僕もさっそく渋谷の山下書店で新刊を買いました。「半径5メートルの野望」というタイトル、何の本なのか、よくわからなかったけど、響きがかっこいい。


半径5メートルの野望
はあちゅう
講談社
2015-01-30







内容はこんな感じ、とアマゾンのページにはある。そうか、自己啓発本みたいな感じか、と思ったら、確かにそうなんだけど裏切られました。いい意味で。


特別なスキルがなくたって、コネがなくたって、ものすごく強い意志がなくたって、まずは小さな夢に焦点をあてること。そしてその成功体験を次につなげることで、自分の半径5メートルがどんどん広がっていく。その繰り返しで、「なりたい自分」と「思い通りの生活」はきっと手に入る!

自分自身も、夢の実現プロセスにいる著者だからこそ繰り出せるメッセージが刺さる、地に足のついた自己実現本。
 


はあちゅうさんというのは興味深い人で、毎日いろいろなところで書いたものを見かけるほど人気だし、そして主張もまあまあ極端なだけに、やっぱりアンチも多い(ように見える)。だけど少なくとも、ぼくの周囲の人たちは一度彼女に会っただけで、「自分も今日からはあちゅう主義になります!」みたいに完全にやられてしまう。「すごい真面目」「いい人」「いいにおいがした」ってみんな言ってる。 

でも、それはなんとなくわかる。情報に貪欲だし、向上心を感じるし、必ずギブアンドテイクのギブから始める律儀さ。会ったときは必ず「わたしは最近これとこれとこれとこれとこれが面白いと思っています。narumiさんはどうですか?何が気になっていますか?」って聞かれる。先に自分のカードを出す。ダメな僕はいつも「ええと、何かあったかな…」って考えこんでしまう。


ネットでは決して顔真っ赤になることなくアンチを受け流してるし、会ってみてもすげえなあって感じる。いったいどこでTwitterの匿名アカウントから寄せられる罵詈雑言のストレスを解消しているの!? って思ったら、


この本だった…!



それくらい毒吐いてます。タイトルと表紙と概要だけ見て、ゆるめの自己啓発本だなんて思ってはいけない。

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出だしの1章から恨みつらみの数々、心地良いくらい吐き出してる。その吐瀉物、おれが飲み干すから! もう大丈夫だから!ってくらいデトックスしちゃってるし、はあちゅう汁プシャー!ってなってる。はあちゅう? ああん? っていう人にはぜひ読んでいただきたい。こうなるから


たとえば本書の初めの方に「負を燃料に変える」という項がある。そこにはこう書いてある。


小物たちが私のアラを探しまくっている間に、私は大物になるために頑張るのです。彼らの手の届かない世界、見たことのないものがある世界、会えない人と会える世界にいくんだ、と自分を奮起させています。

そうとも知らず、小物たちはせっせと「悪口」という燃料を毎日くべているので、自分の時間を使って、私を動かす原動力になってくれてありがとう、とこの場を借りてお礼を言っておきます。



く、暗い…! こんなにネガティブに始まる本はいままで読んだことがない(笑) でもこれが面白い。はあちゅうが上記のように考えるに至った事件の数々も説明されており、その内容はかなりリアルで(他人からすれば)笑えるほどひどいものだった。

しかし少なからずネットで有名になってしまった若い女性はこうやって心の平静を保つ必要があるのかもしれない。それは何もはあちゅうレベルじゃなくても同じなんじゃないかと思う。顔を出して商業メディアやブログ、Twitterとかで何か言うだけで、やっぱり面倒なことはあるだろうし、それをまたおおっぴらに吐き出すわけにはいかない。

例えばきっと、キラキラ広報と呼ばれる人たちなんかも大変だ。

じゃあどうやったら心を穏やかに、そしてより前に進めるように心身を健康に保てるか。そのコツを毒入りでしっかりとレクチャーしているのが
のちに伝説となるであろうダークサイドな第1章「負を燃料に変える」だった。

2015-01-13-19-23-06


はあちゅうと対面したときに感じた凄まじい向上心、ストイックさもこれを読めば納得できる。本気でこう思っているんだってわかった。


私にできることは、相手のことを忘れることです。よく、「夢を叶えることが、憎い相手への一番の仕返しだ」なんて言いますが、本当にその通りかもしれません。私は絶対にその人より、尊敬される人間になってみせるし、お金だって稼いでやるし、有名になってやると思っています。

そして、私の噂が風に乗って、その人のもとに届けば届くほど、その人は悔しいと思うはず。そうなったら、大満足です。



ソーシャルメディアで好むと好まざるとにかかわらず名前がひとり歩きしていってしまう人、そんでなぜか罵声を浴びて傷ついてしまう人、いると思います。「半径5メートルの野望」はそんな人にとって心のお守りになるんじゃないでしょうか。

っていうディフェンスな話ばかりじゃなくて、後半に進むにしたがって、もっとポジティブで、より実践的に、自分のちょっとした野望を叶えるための心構えや方法などが載っているんですけど、すみません、長くなってしまったのでとりあえず今回はこのへんで。

半径5メートルの野望
はあちゅう
講談社
2015-01-30






なにげに名言が多くて付箋貼りまくりながら読みました。序盤でかなりお腹いっぱいになりますが、後半がメインなのでぜひ。ぼくは序盤が好きです。


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「間違いなく今年読んだ本の中で一番です」
 


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