「この仕事のキャリアのスタートはどこですか?」


そう聞かれると 、一応こう答える。


「昔、japan.internet.comというニュースサイトがあって、未経験でそこの記者になって…」


いまはもうほとんどの人が知らないと思うけど、当時はCNET JapanとかITmediaみたいな並びでjapan.internet.comというIT系ニュースサイトがあった。外資ブランドの合弁会社だったので雰囲気としてはCNET Japanのほうに近かったかもしれない。

いまは方向性も変わってライフスタイル的なサイトになっている。契約上のあれこれで名前も変わってるみたいだ。なので「一応」と前置きしながら答える。

いまから15年ほど前、2004年から2年半ほどお世話になった。あまり多くのことは覚えていないが、基本的な記事の書き方だけ教わって、赤坂見附のオフィスで深夜まで何も考えずひたすら目の前の作業に没頭していた。

japan.internet.comは親会社がアエリアという会社だった。米intenet.comとアエリアの合弁会社である。そのアエリアという会社も同じフロアにあって、そちらは怒涛のような忙しさだったのを横目に見ていた。正直なにをしている会社なのか謎だったが忙しそうだった。

なんでも会社が上場したらしく盛り上がっていた。そのアエリアの上場を取り仕切ったCFOが、その後十数年にわたってなにかと面倒を見てくれる須田仁之さん(@sudax2000)という人だった。

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(須田さん、黄色いダウンが目印)

23〜24くらいの若者にとって親会社の取締役CFOは雲の上の存在だ。なぜか職場の電話を取ると須田さん宛のものが多く、たくさん電話を取り次いだのは覚えている。それくらいしかやり取りはなかったが、それだけでも緊張した。

ひたすら記事を書くことを反復練習のように繰り返し、内容を理解せずとも何となく記事のようなものをとりあえず書き上げることだけは身についた自分は、2年半でjapan.intenet.comを去り、一応競合といえば競合のようなCNET Japanに転職することになった。

なんとなく申し訳なさそうに退職届を出した。当時、同時に何人かがCNETに転職したので(あとで知った)、あまり上のほうからは快く思われない退職だったと聞いたが、なぜか雲の上の住人である須田さんが「辞めるんだって? 飲みに行こう」と誘ってくれた。

上場IT企業の取締役がどこに連れて行ってくれるんだろうか。期待と畏れを持ってついていったところ、そこは意外なお店だった。ちなみに現在も僕の職場は巡り巡って赤坂見附にあり、たまにそのお店の前を通るたびに須田さんのことを思い出す。

それがここ。

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その店とは、赤坂見附駅から徒歩1分くらいのところにある「赤坂亭」だ。全品325円均一が売りのお店で、上から貼り直してる値札をよく見るとわかるとおり、昔は全品300円均一だった。

いや、別に赤坂亭が嫌だとかまずいとかではなく、ちょっと拍子抜けだっただけだ。ここは安いし、間違いなく美味い。

ただ…退職の記念になんかすごい偉い人がわざわざ連れて行ってくれる店なわけだから、ちょっと想像と違ったというか。もっと他にあるだろっていう。

ちなみに須田さんが「相当ハイレベルなケチ」であることを知ったのはそれから数年後のことである。

僕がCNET Japanに転職してからも須田さんはちょいちょい声をかけてくれた。面白い会社がある、面白い人がいると言って、取材先を紹介してくれたり、知らない人と会わせてくれたりした。

その知らない人はだいたいスタートアップ企業の経営者で、その面白そうな会社は数年後に上場したりする。

須田さんはいつも待ち合わせ場所にボロボロのママチャリで現れた。アポイントが終わるとまたママチャリでどこかに去っていく。最初に会ったときとはずいぶん印象が変わってきた。雲の上の存在から、なんか変な人だなと。

いま思えば、須田さんが紹介してくれたのはどれも自分が出資したり、関わったりしている会社や人だった。あなたはとても現金な人でした。

須田さんとはそれからもたまに一緒に飲むことがあった。そのたびに「コンビニのおでんは、はんぺんの切れ端はいくら取ってもタダだ」とか「牛すじが入ってるあたりから汁を取ると味が濃い」とかやたら貧乏くさいライフハックを自信満々に聞かされた。

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逆に僕のブログに貧乏くさいネタが載ってたり、安くて美味い居酒屋とかが載ってたりするとそれはそれは喜んでくれた。

当時の須田さんはいくつもの会社の上場に関わった、なんか成功請負人みたいなすごいイメージの人だったと思うが、普段はそんな感じが一切しなかった。たぶんそのへんの倹約家の主婦よりも細かい人間だった。

以前、「須田の元部下飲み会」というのが開かれたことがある。主催者はもちろん須田さんである。自分で呼び出した自分の元部下と飲んでるのに、お会計はきっちり割り勘である。

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この頃にはもう僕も驚かない。参加者だってそのへんは薄々感じながら来ているのでまったくクレームも出ない平和な世界である。

たまにTechCrunchなんかで「スタートアップが複数の調達元から資金を得た」みたいな記事を読んでると、不思議なことに須田さんも出資してたりする。普段の様子からはまったく想像がつかないので混乱する。



そんな須田さんも若い頃はソフトバンクでYahoo! BBの立ち上げに携わり、孫さんと一緒に働いて大変な目にあったり、そしてアエリアの経営陣となったあともお惣菜屋かなんかを創業してもっと大変な目にあったりと、波乱万丈な人生を歩んでいる。

このあいだ須田さんに久々に会ったときに、「いまのPayPay事業の立ち上げってYahoo! BBみたいな感じなんですかね?」って話を振ったら、「いや、もっと地獄だったよ」と即答された。

須田さんの過去にいったい何があったのか。

その答えが、このたび発売された須田さんの初の著書に書いてある。




ソフトバンク孫社長に直接罵倒されるという衝撃のシーンから始まり、ソフトバンク時代の先輩たちの鬼っぷりの回想録、そして誰得すぎる須田さんの恋バナまで盛りだくさんの本書。

須田さん、通称スダックスさんのすべてがここに描かれています。スダックスさんと仕事上の関係があった方はもちろんIT業界に従事するすべての方、ちょうどいま手元に読むべき本がなくて何でもいいから活字が読みたいという人にもぜひともおすすめしたいです。

新卒社会人時代のエピソードを読むと凄まじいまでのブラックな働き方に読んでいるだけで身震いがするレベルです。いま仕事が辛い人もこれを読むと自分はまだましだと思うかもしれません。でもあまり参考にしてはいけない。


須田さんといえばVoicyでの音声配信も大人気。この記事で僕が長々と語ってきた内容はすべて以下のリンクで本人とのトークという形でも聞くことができます。

#79 久しぶりの再会シリーズ(なるみん、サックル)(2018年7月24日放送)/ Voicy - 今日を彩るボイスメディア

IT、ベンチャー、経営などのネタで「笑い」をとれるように頑張ります!voicy も関与先。雑談っぽいので1.5倍速で聴くのがオススメ ネタ投稿やご感想はコチラ 「あなたの考える新年号は?(下ネタ歓迎)」 https://goo.gl/forms/BQOgct8mHO070dDD2 https://www.facebook.com/sudax0721 ...



#113 魁!なるみん塾 #2(謝罪回、乞食グルメほか)(2018年12月26日放送)/ Voicy - 今日を彩るボイスメディア

IT、ベンチャー、経営などのネタで「笑い」をとれるように頑張ります!voicy も関与先。雑談っぽいので1.5倍速で聴くのがオススメ ネタ投稿やご感想はコチラ 「あなたの考える新年号は?(下ネタ歓迎)」 https://goo.gl/forms/BQOgct8mHO070dDD2 https://www.facebook.com/sudax0721 ...


こちらのチャンネルをすでに聴いてるという人は確実に買いの本です。音声と同じくらい赤裸々にリアルに自分のことを語っています、40代半ばのおじさんが。

あとこれが一番大事なんですが、3月6日に須田さんを囲む会があります。須田さんが僕に飲み屋でおごってくれた約束の地、あの赤坂亭のすぐ近くの会場で開催されます。

3/6【恋ボク出版記念】須田仁之と54人の愉快なIT起業家たち(トーキングサークル・ライブ) | 赤坂見附テックハブ

須田仁之が著書「恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方」を出版しましたことを記念しまして、報告会を兼ねて、普段より仲良くさせていただいておりますIT起業家をお呼びしまして、皆さまの近況報告などを兼ねたトーキングサークル・ライブ形式でフリートークセッションを開催いたします。 「 恋のから騒ぎ ...



これまでのIT業界史を代表する豪華ゲストが須田仁之という男について語り尽くす会です。

一応僕も参加する予定なので、須田さんという人間を知っている人も知らない人もぜひ会場でお会いしましょう。参加費はなぜか無料だそうです。

場所は


3月6日(水)20:00-22:00

Days赤坂見附 3A会議室:港区赤坂3-9-1


なんでこんなよくわからない思い出話を長々と書いたかというと、要は須田さんから著書イベントの宣伝をせよとのお達しを受けたからだ。

元・雲の上の人の言うことにはいまだに従うようにしている。


※須田さんはこちら。たまに有益なことをつぶやきますのでフォローしてあげてください。




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「ちなみに僕はまだ本を読んでませんが面白かったです。」
 


この話題はポッドキャストでも深掘りしていくよ。

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