いったい何年ぶりだろうか。最近は本を読むとしても仕事関係のものばかりで、すっかり小説を読まなくなってしまったが、久々におもしろそうな書影を目にして、評判も何も知らずに即購入。

あの水戸黄門が副将軍ならぬ、“副編集長”という設定の冒険活劇。「締め切り破りは天下の大逆!」という帯にドキリとしながら手にとった。

水戸黄門 天下の副編集長
月村了衛
徳間書店
2016-07-08



ストーリーはこうだ。

水戸徳川家の一大事業である「国史」編纂。これが未完に終われば天下の笑いもの。しかし編集部の作業は遅々として進まない。ついに業を煮やした光圀公が、なんと御自ら全国各地にいる遅筆揃いの執筆者たちの元へ原稿を取り立てにいく。

同行するのは国史プロジェクトの編集部門の長である覚兵衛と、同顧問の介三郎の2人。ご老公は書物問屋のご隠居に身をやつし、その一行は各地で厄介な著者とその周辺に起きる難事件を解決する。

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 水戸黄門/TBS

かの有名な「水戸黄門」が“もしも敏腕編集者だったら”という建付けで爆笑ストーリーが繰り広げられるが、この仕事をしている者ならまったくもって笑えない。怖い。でもおもしろい。

ちなみに国史の編纂の現場にはこのような五箇条の心得が掲げられているという。なんだか、とてもリアルだ。

1つ、締切は厳守のこと
1つ、執筆者は生かさず殺さずを以って旨とすべし
1つ、編修経費は一文たりともこれを無為にせざること
1つ、執筆者に心を許すは戦場での油断と心得べし
1つ、締切破りは天下の大逆と心得べし


そんなこんなで江戸を出発した光圀ら一行を待ち受けるのは、壮絶な編集者あるあるの数々。ライターの「書けない」「書いたのに原稿が消えた」さらにはスランプだなんだと待ち受ける苦難の連続。そしてライバル出版社の妨害…!

こんな困難を水戸黄門はどうやって乗り越えるのか。そこに現代にも通じる編集者の心得が描かれている。いまこの時代に編集、執筆を生業とするものは皆、読んでおいて損はないというか、ヒヤッとする良書だった。

ええ、私も寝ずに一気に読み切りました(震え声)




この本で描かれているのはまだまだ旅の一部。不届きな執筆者は全国各地に散らばっているはずだ。きっと続編が出るんだろうと期待している。


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「そして久々にドラマの水戸黄門が観たくなってきた」
 


そんな自分がたまに編集仕事について語ったりするのがこのポッドキャスト。全部聴いてね。

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