テラスカイというIT企業に所属するジェイソン・ダニエルソン氏にインタビューする機会を得た。ジェイソンさんはとても日本語が堪能で、オフには趣味で"お笑い芸人"としての活動にも挑戦しているそうだ。

そんなジェイソンさんに日本に来た経緯や、おすすめの語学学習法、お笑いに興味を持った理由、そして"好きなことで生きていく"ための秘訣について聞いてみた。ジェイソンさんに興味を持ち始めた方はぜひ読んでみてください。

厚切りジェイソン
 
WHY!!!!!


narumi:突然ですが、一番好きな漢字ってなんですか?

ジェイソン:好きな漢字? よく聞かれるんですけど、いつもあげてるのは「一」(いち)。そのままだから好き。

narumi:ああ、やっぱり「四」になると一気に形がややこしいですもんね。

ジェイソン:わざとだろって(笑)


普段は企業へのクラウド支援ビジネスに携わる

narumi:ありがとうございます。テラスカイというと知る人ぞ知る会社で、IT業界の人は知っていると思うんですけど、まだ知らない方にあらためてご説明してもらっていいですか。

ジェイソン:そうですね。ジェイソンから紹介しましょう。テラスカイは2006年に設立されて、最初からセールスフォースの導入支援コンサルティングに特化してきた会社なんです。その後9年間で1600件くらいの実績を達成して、おかげさまで今は日本のトップセールスになりました。クラウドに特化した会社です。

narumi:セールスフォースのソリューションをお客様のところに導入するためのコンサルなどを。

ジェイソン:そうですね。実際にインプリメンテーション作業も行います。僕は、グローバルアライアンスの部長という立場で、簡単に言いますとテラスカイの米国法人があるんですが、そのビジネスを担当しております。現地にも社員がいますので、その現地社員と一緒に電話会議とかを活用して仕事をしています。

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グローバルアライアンス部のジェイソン部長


米国ではインプリメンテーションではなく、クラウドサービス「SkyVisualEditor」を提供しています。セールスフォース上の画面を開発するクラウドサービス。セールスフォースの画面を自由にレイアウトできるというサービスで、基本的には米国法人はそのSkyVisualEditorの販売のみをやってます。

narumi:なるほど。いつからテラスカイにいらっしゃるんですか?

ジェイソン:2012年の4月から。4月で丸3年になりますね。


コンピューターサイエンスを専攻し、プログラマーに

narumi:ジェイソンさんは米国のどちら出身なんですか?

ジェイソン:ミシガン州。チェルシーという田舎でした。あまり知られてないと思いますけど、日本に同じ名前のお菓子がありますよね。大学は学士がミシガン州立大学で、その後はGEに勤めながらイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にいました。両方ともコンピュターサイエンスを専攻していました。

narumi:もともとジェイソンさんの職種というのはプログラマーだったんですか?

ジェイソン:そうですね。一番最初の「GEヘルスケア」という会社では医療機器のプログラミングをやったりしてました。それが3年間。で、もっと日本語を使える仕事がやりたかったんですけど、GEだとなかなか難しいところがあって。それで、これから日本法人を作り上げるベンチャー企業に転職することにしました。

narumi:すでに日本に興味があって、日本ありきで仕事を探していたんですね。

ジェイソン:そうです。大学生のとき1年間、日本に来て旭化成で音声認識の研究をしていました。そこでせっかく日本語ができるようになったのに使わないのはちょっともったいないかな、と思いました。

narumi:そういう経緯なんですね。

ジェイソン:はい。GEの後に入った会社の日本法人立ち上げに関わって、それからテラスカイに転職しました。テラスカイでは今度は米国法人を立ち上げて、それでいまはように海外とのやり取りをしたり、海外から来日したお客様の通訳をやったりとか、いろいろやっています。


日本に来て、「エンタの神様」にハマる

narumi:そうなんですね。かなりお忙しいと思いますが、趣味でお笑いの活動もされていると聞きました。

ジェイソン:ええ、勝手にやっています。最初はお笑いの学校に通っていたんですよ。2005年に初めて日本に来て研究をしていた来た時は、ちょうど「エンタの神様」がブームでした。それをたまたま見たら気に入って、ずっと見続けていました。


エンタの神様|日本テレビ


narumi:それが面白いっていうのはわかるものなんですか?

ジェイソン:いや、わからないです。わからないですけど楽しく見てて。やっと笑えるようになったときはすごく嬉しかったです。特別お笑いに興味があったわけではなく、ただ楽しい時間を過ごせるという理由で見続けていました。そのときは別にいつか自分でやろうなんて思ってなかったです。

でも再び来日したとき、たまたま妻の実家の近くにあったショッピングセンターに、「ザブングル」が登場していたんです。そしたら腕相撲の相手としてたまたまステージに上げられました。

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それがとても楽しくて、また別の大学の学祭にザブングルが出るというので観に行きました。そしたらまた腕相撲でステージに上げられて、しかも(ザブングルの)加藤さんは以前も僕とやったのを覚えていませんでした。ふつう覚えてるでしょ(笑) 今度は名刺を持って行ってたので、名刺交換をしました。本当にメールをくれて飲みにいきましたね。


周囲には反対されるも「やらないと後悔する」

narumi:それでお笑いをやることになったんですか。

ジェイソン:いや、それは止められました。「お笑いをやってみようかな」と話したら、「やめろ」と(笑) 「そんなに簡単な道ではないし、ジェイソンはちゃんとした仕事もあるんだからやめた方がいいよ」と散々注意されました。でも僕は「やってみなければずっと後悔する」と言って…。そしたら趣味程度で、週末コースの学校に通ってみればいいんじゃないかということになりました。

最初の1年間はとても忙しかったです。テラスカイで1週間米国に出張があって、日曜日は学校でネタ見せとか1日中授業を受けて、そこから直接羽田に行って1週間出張して仕事。それで帰国したら羽田からそのまま授業に向かくみたいな生活で。大変でしたね。飛行機でネタを書いていました。

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narumi:お笑いのセンスというのは、すごく言語に依存するように思います。とても難しいですよね。

ジェイソン:だからよくスベる(笑) 加藤さんによく言われるのは、「日本人だったら全然面白くないのにな」って。ちょっと免除されてるんです。

narumi:でも逆に日本人が英語で笑いとるなんて、とてもできないすよね。

ジェイソン:いやいや、多分叫べばなんとかなる(笑)

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プレゼンが怖くなくなった

narumi:お笑いを学んだことっていうのは、仕事に活きたりしてるんですか?

ジェイソン:うーん、なんですかね。人目をあまり意識しなくなったというか。プレゼンする時はもう全然怖くない(笑) じゃあ仕事の成績が上がったかというと、そこまでは繋がっていないかな(笑) 

narumi:漢字はかなり得意そうですよね。検定とかは受けないんですか?

ジェイソン:いまは別に受けるつもりはないですけどね。似たようなものだと、一応、日本語検定は一級を持ってますけど。

narumi:一級だともうほとんど普通に喋れるんですよね。

ジェイソン:そうですね。日本で生まれて高校まで卒業した人に相当する試験です。でも日本人なら誰でもそのくらいできてるので、別にたいしたことない。

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narumi:いま日本に来て何年目なんでしたっけ?

ジェイソン:合計5年ですね。初めて来たのは2005年で、ちょうど1年間いて。で米国に帰って、また来て今回4年目。

narumi:5年でここまで日本語をマスターするのはすごいことですよね。

ジェイソン:いや、5年あれば十分でしょう。たぶん日本人も日々英語を使うのであれば同じことができますよ。


語学学習のポイントは「好きなことを少しずつ」

narumi:でも日本人の英語といえば、勉強量は多いですけどどうも喋れないっていう悩みが皆さんあると思うんですけど。

ジェイソン:それは勉強法が効率悪いと思う。

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narumi:何かアドバイスはあります?言語の学習について。

ジェイソン:よく言ってるのは、とりあえず好きなことを毎日少しずつやること。好きでもないことを無理矢理に根性でやるのは長く続かないし、すごいエネルギーが必要だから効率が悪いですね。

narumi:勉強法に何か自分の好きなことを盛り込むということですか?

ジェイソン:というよりも、ただただ好きなことを英語でやれば良いと思う。例えばゲームが好きな方であれば、そのゲームの英語版をやるとか。音楽が好きな方だったら英語の音楽を聞く。映画が好きな方はハリウッド映画を字幕なしで英語そのままで観るとか。本だったら英語で読むとか。

英語は特にそうなんですけど、インターネットのおかげで無料の資料が山ほどあります。YouTubeだけでも十分覚えられるはず。

narumi:字幕なしって、例えば聞くだけでもいいんですか?

ジェイソン:はい。ひたすらいろんな作品をずっと眺めて、わからなかったら自分で調べる。そのうちわかるようになります。

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 Why japanese peopele…
 
 
ドラマや映画を観て外国語を勉強する方法

narumi:ジェイソンさんの場合はそれがお笑いだった。

ジェイソン:お笑いと、ドラマも観ていましたね。一回ドラマを見て、ほとんど何もわからない。そしたらその後で音声だけを録音して何回も何回も繰り返しで聞いて、もう一回ドラマを観るとか。ちなみに「銭ゲバ」というドラマが一番好きでした。聞かれてないのに言っちゃった(笑) あれは面白かった。今夜にでももう一回見ようかな。

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2009-05-22

 

narumi:そんなに好きなんですか?

ジェイソン:はい。ストーリーが面白いし、演技もなかなか良かったと思う。すごい共感できるような内容で、なかなか興味深いです。かなり貧乏な方が大手の社長になるんだけど、結局幸せになれないという。

narumi:教訓があるんですね。

ジェイソン:そうそう。

narumi:じゃあ日本人もまず映画を字幕なしで観て、内容がよくわからなかったら、次は字幕ありで観たりと。

ジェイソン:字幕ありでもいいし、辞書で調べるとか。はい。単語帳も例えばアプリを使ったり、自動的に効率よく勉強ができる方法は山ほどあると思うんですけどね。

僕は自分で作ろうとしてました。お笑い番組を見て単語帳を作って。効率よく勉強するアプリを開発しようとしてたんだけど、途中でもうできあがったバージョンを見つけちゃったので中止しました。


いまは日本史を勉強中

narumi:これからの日本での目標っていうのはあるんですか?

ジェイソン:楽しく生きること。無駄な時間を使わないこと。そのためには無駄なことを断る。(笑) それくらいですかね。今はちょっと変な時期。たぶん3ヶ月くらい前に目標を聞かれたら全然違うものだったんでしょうけど、いま何が起こっているのか自分でもわからないし、どうなるのかは全然見えてないですけどね(笑)

narumi:とりあえず、楽しいことをやると。

ジェイソン:そう。楽しいこと、好きなことをやります。日本史も勉強しろと言われてますね。

narumi:そうなんですか(笑)

ジェイソン:クイズ番組に出られるかもしれないね(笑) まだ弥生時代ですけどね。

narumi:だいぶ最初の方ですね。

ジェイソン:そうなんですよ。進まない。だからまあ、目標としては一応それですかね。


好きなことをやり続けるために必要なこと

narumi:好きなことをやりたいと思ってるけど、なかなか何をしていいかわからない若い人、たくさんいると思うんですけど、そういう人たちに何か、好きなことをやるにはこういうことを考えてたらいいよとかアドバイスいただけますか?

ジェイソン:とりあえず幅広くいろいろなことをやってみて、一番楽しく感じたことをより時間をかけて深くやってみて。それでも駄目だったらすぐに諦めてもいいし、次のことに挑戦してみてもいい。諦めるのは全然恥ずかしくない。まずは何でもやってみること。

あ、そうえば最近、変な人生相談がけっこう来るようになってきて。Twitter上で匿名のアカウントから「ジェイソン、死にたいんですけどどうしたらいいですか?」とか。何でジェイソンに聞くんだろうと思うんですけど、そういうのに答えるの実は好きです。

narumi:そうなんですか。じゃあ会社でも部下の方とか、後輩の方とかの相談に乗ってるんですか。

ジェイソン:いや、それはないかな(笑) グローバルアライアンス部って日本のオフィスではジェイソン1人だけなんで。1人部所なんです。


140kg→80kgに減量した経験も

narumi:ところで、ランチはどんなところ行ってます? 何が好きですか。

ジェイソン:鯖の塩焼きが好きです。イカの塩辛だけは嫌…。納豆はまあ無理したら食べられるんですけど。あと実はずっと断食してたんです。日本に来た時は140キロで、80キロまで痩せました。いまは95くらいですかね。

narumi:140キロって相当太ってますよね。そこから80まで落としたんですか? 140kgが全然想像できないですね。

ジェイソン:根性ですよ(笑) ただただ食べない。そして激しく運動する。

narumi:それはかなりハードですよね…。

ジェイソン:たぶん誰でもできるんですけど、人がやらないだけ。

narumi:きっとストイックな性格ですよ。

ジェイソン:そうですかね。何か達成したとしてもその後は何か意味があったのかなと後から悩んだりする。

narumi:いやでも、だいぶ動きやすくなると思いますし、健康にもいいですよね。

narumi:どのくらいの期間で60キロも痩せたんですか?

ジェイソン:けっこう短期間でしたね。半年くらいで痩せました。夜まで何も食べない。炭水化物には一切手を出さない。毎朝12キロ走るというのをいきなり始めて、半年くらいで60キロ痩せました。

narumi:凄い。それができるのになんで太ってたんだ?っていう感じもしますけど。

ジェイソン:食べることが好きだった。単純に。

narumi:そういえば僕、ダイエット本出したんですよ。

ジェイソン:本当ですか?

narumi:コンビニで売ってるおでんを食べて痩せるっていう。僕は1カ月ちょっとで10キロくらい減らしました。

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 「大」に点を足すと「太」になります。


ジェイソン:凄いですね。

narumi:よかったら読んでみてください。

ジェイソン:おでんの大根は12個あってやっとおにぎり1個と同じくらいなんですね、カロリー。なるほどね。いいね。


 


新入社員に驚かれる

narumi:また太っちゃった時の参考にしてください(笑) ジェイソンさんはいつも凄く叫んでるイメージありますけど、喉のケアとかはされてるんですか?

ジェイソン:いや、我慢してます。それだけ。連続でやるとだいぶひどいことになりますね。

narumi:そうなんですね。凄いですもんね。会社に来たら声が枯れてるみたいなこともたまにあるんですか?

ジェイソン:よくありますね(笑) 今日は新入社員が3人いたんですけれども、全員ジェイソンのことを知っていて、皆びっくりしてました。今日会ったとき。

narumi:そうですよね。今後もずっと日本で仕事をしていく予定なんですか?

ジェイソン:うーん、まあずっととは言えないですけど、一応永住権も持っていて法律上はずっといられる。どうなるんですかね。恥をかきすぎて顔を出せないようなことがあったらわからないけど(笑)


会社のサイトのPVが1.5倍くらいに

narumi:テラスカイの社長さんはジェイソンさんの趣味の活動についてどんな反応ですか?

ジェイソン:それは…なかなか読めないですね。

広報担当の田中さん:広報としては頑張って欲しいですね。彼はまだ直接自分の仕事のメリットっていうのを感じてないと思うんですけど、私は外で社名を言うだけで認知してもらってることが増えて。やりやすいっちゃやりやすい(笑)

会社のウェブサイトのPVが1.5倍くらいになったこともあります。

narumi:何か仕事の問い合わせが増えたとかは?

広報担当の田中さん:それはまだないですね(笑) 常にエンジニア大募集中なので来てくれたら嬉しいです。クラウドを盛り上げたい人は是非。新卒の大学生から中途まで幅広く探しています。


クラウドやるならテラスカイ 採用サイト TerraSky Recruiting Site


narumi:ジェイソンさんにエンジニアの仕事を学べるかもしれないですもんね。

ジェイソン:もしかしたら何かプロジェクトを一緒にやることも、将来的にはなくはないかもね。

narumi:今日はありがとうございました。長々とお忙しいところ…。

ジェイソン:いや、そんなことないですよ。そんなに仕事してないし(笑)

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 決めポーズを披露してくれたジェイソン氏と、思いっきり目をとじてしまった筆者



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「映画シェフで美味しそうだったキューバサンドイッチを食べてきた」
 


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