「ブロガーに学ぶウェブ時代の文章技術論」といったテーマのイベントについてメモったもので、前回の続きです

ゲストは「やまもといちろうBLOG」のやまもといちろう氏と、「小鳥ピヨピヨ」の清田いちる氏。この2人の話をライブドアブログの事業責任者・佐々木大輔氏と、日経BPの編集者・竹内靖朗氏がいろいろ聞き出しています。やまもといちろうさんの昔のブログを読み解いたり、歴代人気記事ランキングがすごいという内容です。

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佐々木:やまもとさんが、目の前で書いているところを1回見たことがあって、2時間くらいの、クライアント名を出していいかわからないので伏せますが、大崎での会議があって、そこに1時間の間がちょっとあったんですね。

そうしたら、やまもとさんが猛烈にキーボードをパタパタやりだして、そのときも自分でRSSリーダー読んでいたら、「じゃあ次の会議始まります」となった時に、新着がポンと入ってきて、それがすごい長文の、いつものあの感じのブログなんです、密度の濃い。これ本当に15分とかで書いているんだというのを目の前で見てびっくりしました。

やまもと:書いてますよ。

いちる:一気に書いて、あれだけ読み手のことを考えて、読み手が読んで面白い風に書くには何を気をつけているんですか? どうしたらできるんですか?

やまもと:いくつかコツがあって、落としどころを1つ、2つ用意する。そこに向けて走っていく構成を考えるというのと、これを読んだ人がどう思うかというところまでいちおう考えておいた方が、書いていて後でブレなくてすむという、その3つだけですね。

いちる:書く前に考える?

やまもと:書いている途中に考えることはないですね。書く前に全部、これ書かなくちゃとなって、大体オチが2つある時の片方は「mixi死ね」なんですよ。「mixiの解散を希望しています」とか、そういうのを片方に持ってくるんですよ。

佐々木:すごいですね。今日この2人の「いちろう」が呼ばれた理由が(笑) いちるさんはiPhoneで1時間校正するので、まるっきり逆。

やまもと:たぶん1つのことを書くにも、いちるさんと私で書くメソッドがまったく反対なんですよたぶん。ただ、お互いがお互いの手法もできるんです。推敲しろと言われれば推敲するんですよ。 たとえば、朝日新聞にクソ書評とか書けとか言われた時に、いろいろ相手の書き手さんのこともあるから、ある程度考えて書くじゃないですか。

でも「どうみてもクソ本だよな」っていう時に推敲するじゃないですか。いかにも面白い本だと思うように。でも私が絶賛したとなると、「あのクソ本を私が絶賛しやがった」となるので、そうは読めないように書くわけじゃないですか。

いちる:悩ましいですよね、それね。

やまもと:頭を悩ませるわけです。1400字とかで書くわけじゃないですか。

いちる:「わかってくれ、俺の気持ちを!」と思いながら書きます。

やまもと:「このクソ本、なんで俺が今ここで書評しなければならないかについて、ぜひ思いを馳せてくれ」という文章にしなきゃいけないんですよ。

佐々木:そういうのはさすがのやまもとさんも時間がかかる。 

やまもと:かかります。たかだか1400字なのに、2時間半とか3時間かかるんですよ。 

いちる:褒め殺しをするとバレちゃうから、そこまでしないように。 

やまもと:そうなんですよね。遠まわしに、他の本を褒めたりするんですよ。 


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いちる:あとで興味があったら、このリストの初稿見せますよ。これの初稿はあります。ひどいものですよ。ただ、一気に書いて出すというのもやっています。そう、創作。2012年は、元旦の目標として今年は毎月ショートショートを出して、小説ブログになるというのが目的だったんですけど、結局2つしか書けませんでしたけど、創作に活路を見出そうとしたことがあります。 

佐々木:これが最終ページですね。 

■「炎上」についての考え方

いちる:何か聞きたいのあります? 「慎重に慎重に炎上してみた」というのはリンク貼ってあると思うんですけど、「高校生はCDのことを何と呼ぶのか」という記事なんです。「炎上するだろうな」と思いながら、だから「僕が言ってるんじゃないですよ」ということをすごい丁寧に書いたのに、ヤフトピにも載って、ものすごいアクセスがきた。

コメント欄が高校生で埋まって、そのすべてが「言わねーよ、バカ」というコメント。言い訳してました、アップデートで。たぶん消していないので、下の方にコメントがありますね。 


高校生は、音楽CDのことをなんと呼ぶか?:小鳥ピヨピヨ


佐々木:「言わないそうです」って、書いてありますね。 

いちる:コメントみると落ち込むので。でもすごいある。 

佐々木:だんだんこの辺から現役の高校生がきてますね。 

いちる:落ち込みましたね。途中で公開するのやめたかもしれないですね、コメント。これは慎重に炎上した例です。炎上するの好きな人たちいるじゃないですか。炎上したらPVがあがるからいいみたいな。そうかもと思ってやったんですけど、心がついていかなかったという例ですね。 

やまもと:そんなものですかね。 

いちる:隊長は平気そうですよね。 

やまもと:あんまり気にならないですね。 

佐々木:させようとも思っていないということですよね。 

やまもと:結果的に、バカに対してバカと言った結果、相手が炎上するのはやむを得ないと思うので。 

いちる:隊長自身が炎上するって、昔はあったかもしれないですけど、最近はないですよね。

やまもと:1回、2ちゃんねる絡みで炎上した経験があって、でも炎上してもあんんものなんだというのがあるので、そこで心折れる人はたぶん鮭が川が登りきれないみたいな感じだと思うんですよね: 

いちる:確かにそうです。本当にやめようかと思いましたから。でも、うまく登りきってまだブログ続けてますから。まだ続いているの。 

やまもと:せいぜいそんなもんだという話ですよ。炎上に関して言えば、よくも悪くも。 

いちる:物理的に刺されるというとかというのは全然違いますよね。 

やまもと:そういうこともありうるわけですよね。だから、炎上も批判とか、サイバーカスケードとかいろいろな言い方していましたけど、ある程度みんな安全なところから打ってきている以上、決定打には絶対ならないということさえ理解していれば、そういう炎上自体をうまく利用しようとするのが出てくるのは間違いないと思うんですよね。 

あとは、炎上慣れしてしまった人というのが一定数いて、奴らはさらなる炎上を狙っていろいろやってくるので、それ以降はなるべく取り上げないとか。 

いちる:炎上慣れというか、炎上してPVがあがることに魅力を感じちゃって、PVをあげるためにわざわざ煽ってくるブログあるじゃないですか。それはなりたくないなと思いますね。 

■切込隊長が、「やまもといちろう」になるまで

佐々木:ではそろそろ、これでですね、いちるさんからリストいただいたものは最後のページですね。やまもとさんの、今回ログをというか、私も古いもの知らなくて今回初めてインターネットアーカイブスのものを教えてもらったという感じなんですが、いわゆるこれが一番最初の死体置き場というタイトルがついていますけど。


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死体置き場
http://web.archive.org/web/20060116094447/http://www.din.or.jp/~norihide/doc/kirik/

やまもと:97年からやっている、niftyホームページというところに開設していた「切り込み隊長ホームページ」というのが、僕の一番最初の文章の置き場所ですね。「死体置き場」という名前だったんですけど、このあと死体置き場になるのかな? 

当時、いろいろ投資事業をやっていくなかで、自分がうまくいっているんだけど、「なんで周辺の人たちがギスギスしているんだろう」というのを自分なりに不安に思ったり、不信に思ったりしているものをわかりやすく説明するというのが、このサイトの本来の趣旨だったんだけど。 

佐々木:ちょうど次のページが、代表例としてあげてもらった 

やまもとゼネコン化するIT。


 ゼネコン化するIT業界

佐々木:DeNAの話が出ているやつです。 

やまもと:ビットバレーのことを、クサした記事なんですけども。「早くみんな死なないかな」と思っていた頃ですね。まだこの頃インターネット界隈というのがネットバブルを1回経験し終わった時ですかねちょうど。 

佐々木:2000年7月ですね。 

やまもと:ひかり通信とソフトバンクの株価が急落してビットバレーが今後どうなってしまうのかみたいなタイミングで書いたものなんですけど、業界内の特にVC業界と当時のベンチャー業界の噂の真相的な話をいっぱい書いて、実際にどういう構造でそういう業界の人たちがどこで出会ってどういう話をして、どういう投資効果になっているのかみたいなものを切々と書いていました。

あと僕自身はオヤジが製造業だったので、タレパン屋というか、タレットパンチングという板金屋さんですね。その投資の仕組みと組み合わせて、昔も製造業にいっぱいお金がついた時代があってというのを説明したのがこのテキストですね。 

いちる:これはホームページですよね。 

やまもと:ニフティのホームページです。 

いちる:IBMホームページビルダーとかで書いたんですか? 

やまもと:いや普通にHTMLで書いて。 

佐々木:今日、文章技術という、細部の話なので今の時点から振り返ってこれを見てどうですか。 

やまもと:この時点で、ご覧いただいてわかるとおり、今のブログと原型は変わらないんですよ。1字下げており、かつ段落ごとに1行空いておりみたいなものは変わらないですけど、ここに出ているかな? 当時、1人称が「俺」だったんですよ。 

いちる:「俺」って書いてありますね。 

やまもと:当時まだやさぐれてましたのでですね、なんというかお金はいっぱいあるんだけど自己評価が異常に低くてやさぐれていた時代でございます。 

いちる:やさぐれると「俺」なんですか? 

やまもと:ええ(笑) あんまり自分の評価が高くなくて、あまり上へ上へと目指していくという人生じゃなかったので、完全に下から業界の現場を見据えている自分をアピールしていたつもりです、当時は。 

■文章修行は「写経」で

佐々木:この時は推敲は? 

やまもと:していないです。それも変わらないです。書くということのスタイルはこの時点で。もっと前にパソコン通信をやっていたんですね。その時もある程度長文を書いたりというのに慣れていたのと、当時から結構本の虫だったので、筒井康隆とかの写経をずっとやっていたんです。 

佐々木:好きな小説を選んで? 

やまもと:選んで、頭から全部、何遍も書くというのをやってました。どんな作品かは言いませんけど、そういう文体とかリズムとかいうのを自分に叩き込もうというのはかなり当時から、中学高校からやってたという。 

竹内:それすごい効くらしいんですよ。いろんな書き手の方が仰ってました。 

いちる:僕もやりますよ、写経。 

やまもと:何ていうのかな。ネタ帳を作るということを当時考えたのは、自分がいかに表現力がないかというのを痛感したからだったんですよ。それで、今でもたとえば、ウェブ徘徊したりとか、本を読んだ時に、おもしろい表現があった時に必ずそれを書き残す癖をつけていて、“あいうえお”順でリファレンスつくったりとか、最近だと英文もリファレンスつくったりとかするんですけど、対照表をつくってこういう時にはこれを言おうみたいなものをやっているんですね。 

佐々木:それはもう紙であるんですか? 

やまもと:はい。 

いちる:1ヶ月か2ヶ月くらい前の山本さんのブログでさらっと書いてあるだけなんですよ。何についてか忘れちゃったんですけど、「どこかのバカがこんなこと言ってます。一体こいつのどの辺がおこなのか調べてみましょう」と書いてあって、「おこ」というのをものすごく自然に使っていて。 

佐々木:言葉のドレスダウン。 

いちる:ドレスダウンもそうだし、その時々の流行りじゃないですけど、トレンドな文体とか単語とか言葉を自分のものに、その都度しているなという。 

やまもと:そういった意味でいうと、文章のテイストの骨格自体は僕は筒井康隆とナンシー関なんですよ。この2人の文章を写経して、書くということの地力をつけようと思った時期があったので、それは今でも骨格にはなっています。 

佐々木:そこって、取り出すことはできないかもしれないですけど、何かありますか? 

やまもと:「なわけですけど」とか。これはナンシー関ですよね。 

佐々木:冒頭のそこですね。 

いちる:下から3番目とか。 

やまもと:これとか、ここからだと読みづらいかもしれないですけど、文章長いのは筒井康隆だと思うんですよね。非常に文章が長い作家さんなので。 

竹内:背景はなんで緑にしているんですか? 

やまもと:これは黒板をイメージしているんです。黒板にチョークで書きなぐっているというイメージで、最初、死体置き場というサイトでやってました。 

竹内:いつも、読み終わってタブを閉じると残像が見えるんです。 

いちる:Google Chrome拡張でありますよね。白背景になるという…


Chrome拡張機能「切込隊長補佐」をリリースしました | しらさかブログ


竹内:使ってます、愛用してます。 

やまもと:残念ながら、そういう便利な道具ができてしまうと情緒が奪われていくんですよね。 

佐々木:いつか本当にやまもとさんに黒板に「えいっ」て書いて、帰ってもらいたいですよね。できるということですよね? 

やまもと:できるでしょうけど、それは何か実現してしまった妄想みたいな感じで辛いかなと思うんですけど。 

■やまもといちろうブログの歴代トップ5記事

佐々木:これをリクエストして出してもらったんです。歴代の人気記事について、アクセス数をカウントしていただいているということで、桁がすごい。 

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・どうしても、もやもやして一歩が踏み出せない君へ(1675万7075PV)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/08/post-8895.html

・東日本大震災の気分的総括について(1449万604PV)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/03/post-5680.html

・ぶっちゃけて言うと、孫正義が羨ましい(1403万3048PV)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/10/post-ac5c.html

・mixiにお詫びするなど3年8ヶ月遅いわ!(1356万5280PV)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/07/mixi38-fe46.html

・○○○としては一流だが、人間としてはクズな偉人との付き合い方(1223万5826PV)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2010/01/post-1631.html

やまもと:1600万くらいですよね。結構、いろいろなところからリンクされてやってくる人たちがいろいろなところに波及をしていって、普通ブログって更新された日、1日もてばいいかな、ぐらいなんですけど、「どうしてももやもやして〜」は、高校生とか学校に貼られたらしくて。 

どうしても、もやもやして一歩が踏み出せない君へ: やまもといちろうBLOG(ブログ)

佐々木:この上がですね。 

やまもと:そうです。だから結構いろんなところに波及していって、1ヶ月以上読まれたとか、「気分的総括」はいろんな雑誌に取り上げられたとか。「mixiに〜」はちょっとあれですけど、ネット以外で話題になって読みに来てるモノが多いですね。 

いちる:1番と5番って、普通のやまもとさんらしいやつじゃないですか。どちらかというと仕事術というかそういうライフハックじゃないですか。やはり、そういうのがネットでは流行るんですかね。 

やまもと:ある種、メタなんですよね。人生訓であり、その人が本来の人格を文章にした様自体に共感が得られるケースと、そこから感動した人が「これ読んでみて」といって二次波及していくケース、大体2つに分かれると思うんですよ。正直どれも推敲していないです。 

佐々木:内容もあれですが、文章技術的な観点で印象に残っているものありますか。 

やまもと:技法でいうと、「孫正義が羨ましい」のやつですかね。これは単純に酔っ払って書いた文章ですね。書ききった文章です。 


ぶっちゃけて言うと、孫正義が羨ましい: やまもといちろうBLOG(ブログ)

佐々木:(笑) これひどいですよね、書ききったというか。 

やまもと:これ生の文章なんですけど、何が起きたかというと、僕非常にタッチタイピングの速い人なんです。考えているスピードでものを書く力があるんです。その時、「孫正義このやろう」と思ってた時に酔っ払って帰ってきて、孫正義について文句言わずにいられない、「でもあいつすごいよね」と思いながら書いている思考経路が全部出ているんですよ。大体1人で酒飲んでいると、僕はここで考えてます。 

佐々木:考えている順番どおりに出てきているということですね。 

やまもと:順番通り出てきています。だから、認めざるをえないんだけど「あのやろう」というのがあるので、文章としていったりきたりするんですけれども、非常に口語的でかつ文章もほかのエントリに比べたら圧倒的に短くかつ、リズミカルになっているのはしゃべっている言葉でそのまま書いているわけですよね。

その中にたくさん誹謗中傷が含まれているんですけど、それは本当に孫正義に対して赤裸々の本音を書いているからだと思っていて、それが非常に評価していただいてというか、ハゲは偉大とかいろいろ書いているんですけど、結果的にはハゲは1つの時代をつくったよねというような結論で終わっているので、読み手さんからしても「畜生」で終わっていいねという感じですよね。 


けなす技術
山本 一郎
ソフトバンククリエイティブ
2005-03-23



いちる:これの前に結構、孫さんのことを定期的に書いている時期があって、これがドンと出てきてるんですよね。 

やまもと:仕事上の差し障りがいろいろあった時代がありまして、ヤフーさん、ソフトバンクさん、ソフトバンクモバイルさん、あと今ソフトバンクテレコムになっているかな、当時ケーブ・アンド・ワイヤレスIDCとか、いろいろやっていた時に、忸怩たる思いもありつつ、この人はやっぱりすごいなというところもありつつというようなとこですよね。

そこに関してはたくさんエピソードがあるんですけど、そこは割愛させてください。ツイッターは大した言及数ないはずなんですよね。2000だったかな。もうちょっとあった気がしたけど。ちょうど去年の今ごろですね。大体1400万PVくらいですね。 

佐々木:このリストの中でいうと、4位のmixiのやつが大好きです。 

mixiにお詫びするなど3年8ヶ月遅いわ!: やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと:これは爆発しました。これはすごくピーク立ってサーバが大変だったって、あとでニフティの人に聞きました。 

佐々木:内容どうこうじゃなくて、すごい愛というか、愛憎の表現の仕方としてすごいなと。これ一番好きなやつなんですけど。 

いちる:比喩がすごいですよね。 

佐々木:この「十字砲火でロシア軍の縦深陣からのカチューシャ砲をオルガン状態で歌い上げたい」とか。僕なんのことかわからないんですよ。こういう「クソみたいなあれ」というのはどこから出てくるんですか? これもネタ帳から出てくるんですか? 

やまもと:たぶん、ああこういうこと書きたいなと。ネタ帳を読み返して書くことはないんですよ。 

佐々木:書くときに見るというわけじゃないんですね。 

やまもと:はい。いろんなものを組み合わせて書いてますよね。 

いちる:結構、軍事戦略、戦術的なやつ得意ですよね。 

やまもと:逆に、それが一番自分が何か書くときの表現として一番しっくりくるからなんですけどね。 

佐々木:最後のパラグラフが好きで、たたみ方のスピード。普通、全体で10あったら、8、9くらいにピークもってきて、残り1くらいでさっとたたむというのはわかるんですけど、これ99くらいまでやってきて、残りの0.1とか1くらいでパッとたたんで、「死ね」という罵倒と、「死んで甦れ」という愛を7文字でやって、「今後ともよろしくお願い申し上げます」になっているというたたみ方がすごくよかったなと思いました。 

やまもと:一番言いたいのは、「今後ともよろしくお願い申し上げます」です。これは最初に考えていたオチです。これは「本当に心から今後ともよろしくお願いします」ということをいいたくて書いた文章です。 

いちる:mixiでもすごい回ったらしいですねこのテキスト。 

やまもと:これも1年ちょっと前くらいですね。この頃から1年たってmixiはああなってしまったということですよ。 

いちる:どうなってしまったか聞いていいですか? 

やまもと:今日(11月8日)株主総会で、社長がやらかして、岡田有花ユカに叩かれてましたけど、非常に幸せな日々だったですよね。


ミクシィ朝倉社長「リストラ一切やっていない」 - ITmedia ニュース


■ブログ記事をどう締めくくるか

佐々木:お2人にお伺いしたいんですけど、たたみかたのパターンってあるんですか? やまもとさんのたたみかたのパターン、みなさんお好きなものからパッと浮かぶのあると思うんですけど。 

いちる:「今後とも宜しくお願い申し上げます」って、よく出てきます。ああ、これ取引関係あるのかなと思ってみてますけどね。 

やまもと:基本的には、私大変丁寧な人間なので、ブログで書くことと、実際仕事は違いますねとよく言われるんですね。 

いちる:あおりとは縁遠い乾いた生活を送っているんですか? 

やまもと:ええ、とても乾いた生活日々送っているので。でも、たたむというか、余韻の残し方っていくつかあって、要は人が犬を噛んだという世界だと思うんですよね。だから、意外感をもって終わってほしいとか、結局今までの文章がこの一文で凝縮されて終わったときの、やられた感とかそういったものを持ってもらいたいということで、なるだけ印象に残る文章を最後の一文にもってくるにはどうするかというのを考えて構成をつくるというのは結構徹底しています。

だから真面目に書いた文章はオチがないんですよ。それは落とさなくていいからなんですけど。本文が述べたいことである以上、そこに余計な装飾はいらないというときは本当に丁寧に書いて、総括して終わる。もしくは最初に結論もってきて、普通の報告書の形態で終わる、そういうのは意図的にありますよね。 

佐々木:いちるさんのをみていても、意識しているのかなと思うことがあるんですね。 

いちる:僕は、全記事が冒頭と最後の一行の試行錯誤ですよ。毎回悩んでますね。どう終わらせるかって。呼びかけて終わるとか、最後の一行でちょっとひっくり返して終わるとか。コラムニストのマイク・ロイコは最後のオチの付け方がむちゃくちゃうまいんですよ。そこだけ読んで、それまでの数ページが報われて、「ああ、楽しかった」となるみたいな。できればそういう文末にしたいという思いで毎回書いてますけど、そんなにうまくいってないこともあるし、うまくいったこともあるみたいな。 

やまもと:ウェブで最初と最後読ませるって結構難しくて、「加藤はいね」の文章とか読んでいると相当これ考えて書いているなというのがわかるんですよね。


私の時代は終わった。

加藤はいねのブログ


いちる:加藤はいね、すごいですよね。 


■初芝清

佐々木:ちょうどその話が出たので、これ当時のやつからサルベージしてもらったやつなんですけど、これはネットに残ってないやつですね。やまもとさんから、これだ!って送られてきたんですけど、これについて解説は。 

やまもと:初芝の思い出というのを旧チャンネルボックスのブログでつくってたんですけども、本当に好きなものに対して歌い上げるような文章というのを最初に書いたのがこれで、今でも自分の文章の中でベスト文章だと思いたいぐらいのものですね。 

初芝清 - Wikipedia

佐々木:もうネットのどこにも残っていないと聞いてはじめてみたんですけど。 

やまもと:ネットに残っていなくて、誰かが勝手に引用しているやつを私がさらに引用してアーカイブ残しているんですけど。やはり雑なところがいくつかあるんですけど、自分が初芝という選手が本当に好きで、あとパリーグをずっと見てきた中で、彼の引退とともに僕もメガホンを置こうかなと思うくらい好きだった選手なんです。

ただそんなこと言っても誰にも共感を今読んでいないと思うので、それはちょっと置いておくとして、大体こういう文章を書くんですけど、mixiの件とか、孫正義の件とかも、文章のメソッドというか、ベースになっているテクニックは一緒です。 

彼らに対する賛成と反対の表現を一つの文章の中に組み合わせながら、読んでいる人たちがほめているのか、けなしているのかわからないけど面白いと思ってもらえるような組み方をする。それを羅列していってヒートアップさせて最後にドーンと落とすというのをやってます。

結局なんだったんだ?と思ってもらえる。こういう微妙な人については、たぶん初芝って知らない方多いんじゃないかなと思うんです。知っている方いますか? あ、結構知っている、ヤバイ(笑) でもパリーグの中では非常に面白がられた選手だったので、面白がって終わるのが一番いいんだろうなと思って書いた文章がロッテファンに絶賛されて、非常に。そういうつもりなかったのになという感じですね。 

佐々木:これみて思い出したのが、「フモフモコラム」。スポーツ関連のブログを書いている人のいつもやっているスタイルに近くて、もちろんこっちの方がすごく古いんですけど。


スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム


いちる:フモフモっぽいですよね。 

佐々木:そう、ほめてるんだかけなしてるんだかわからなくて、笑って帰るみたいな。 

やまもと:基本的にいろいろな評価があるんですよ。守備が下手といっても守備の下手さに価値があるんだというような意味合いをたくさん羅列することによって、その選手がいかに特徴ある選手だったかというのを人に刻むことができるわけですよね。

下手だからクソでしょといったら、それで終わってしまうんですけど、クソであるがゆえに、小坂という非常にうまいショートがいるんですけど、彼の能力が引き立ったんだというところの説明までして、ホントかよ?と思ってもらうのが面白かったりとかいろいろあるんですよ。あと、ロッテの過去の名選手でよくパリーグのファンの間でネタにされる選手との対比を入れたりとかを一生懸命やってます。 

佐々木:これ全文は、Facebookのイベントページのどこかに貼ってもいいものですか? 

やまもと:全然いいですよ。 

佐々木:ではこれは後日見られるようにいたします。 

やまもと:こんなもの読んでどうするんだというのはありますけど、結構ロッテファンの間では回覧されたみたいでうれしかったですね。







--次回の「いま面白いブログをひたすら挙げてみましょう」で完結

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前回のはこちら。

ウェブ時代の文章術とは? やまもといちろう氏と清田いちる氏に聞いてきた : Blog @narumi