ずっと前にご献本いただいたこの本(このブログに献本してもらうなんて初めてだ)。

レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか
ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー
日経BP社
2013-10-24



友人が編集に関わっているそうで、ふつうに面白い本だなぁと読んでいたところ、こんな事態に。

イケメンを呼び出してレッドブルを飲ませて無理やり書評を書かせた話


というわけで、どんな本か軽くご紹介させていただきます。簡単に言いますと、あの「翼を授ける〜」っていうCMでおなじみのエナジードリンク「レッドブル」が、なぜ世界中で人気を集めているのか。企業としての成り立ち、創業者マテシッツの思想、さまざまなマーケティング施策などを紐解きながら解説しているわけです。

そういえばレッドブルって「なんか疲れたなぁ」とか、「なにやら今日は忙しいっぽいな」とか、「ちょっといいことあった!」とか、そういう時についつい飲んでしまう。主に職場で。

一体なんだでだろう…。周りで飲んでる人がいるからか。この本を読む前はよくわからなかったんですが、読んだあとはよくわかる。

レッドブルって「そういう時に、ついついレッドブルを選んでしまう」ようにするためだけにある会社なんですね!そういう雰囲気に乗せられてたわ!

◆◆
まず最初の方にこんなことが書いてあって驚いた。

レッドブルには、工場も倉庫も存在していないのだ!それどころか、ドリンク発送のためのトラックすら所有していない。数多くの運送業者がこの任を担っている。大企業の大半は自社のマーケティングと広報活動を他社に委ね、専門家やペテン師に大枚をはたいているが、レッドブルはまったく逆の道を選んだ。生産と流通は他社に任せ、自社は販売と宣伝だけに専念している。

作ってないんだ! レッドブル社は、あのドリンクを、作っていない。


レッドブル(Red Bull) エナジードリンク 185ml×24本(1ケース)
レッドブル・ジャパン


そう。レッドブル、これ作ってないってよ。 


マテシッツ自身、彼の帝国はマーケティング企業であり、そのためレッドブルグループが行う活動はすべてマーケティングであるという考えに基いていると協調している。


レッドブル社の会社登記簿には業務内容として、「レッドブルブランド活用」としか記されていない。

要は、すごくシンプルなマーケティング専業会社らしいんです。なんでそうなったか。それで実際どうなったのか。そういうことがこの本には書いてあるわけです。


◆◆
で、レッドブル社の主な業務はドリンクの宣伝・マーケティング。なかでも特徴的なのはスポーツイベントやスポーツチームのスポンサードです。サッカーチームからF1まで幅広く手がけています。

あと、自らヘンテコな大会も考案し、開催しているらしい。

独自に考案した創作スポーツの大会も開催している。例えばボックスカートレース(ソープボックスレース)、紙飛行機世界選手権、あるいは自主制作したオリジナルの飛行機具を使いプラットホームから水上へと滑空するレッドブル・フライトデーなどだ。


紙飛行機世界選手権…!? どんな大会かと思ったら、動画があった。

 

紙飛行機の飛距離を競って大盛り上がりです。レッドブルの公式チャンネルで公開されているこの動画はすでに18万再生。根強いファンがいるようです。


そして自作人力飛行機の大会「レッドブル・フライトデー」も相当やばい。鳥人間コンテストに近い感じでしょうか。

こちらは2013年にキエフで開催された大会の動画。コスプレをして飛行機に乗り込んだりとお祭り騒ぎですね。

 


まっさかさまに海に墜落していくと、そこには「RedBull」のロゴが描かれたブイが浮かんでいます。これは目立つ!けどなんて非道な会社w

 


すごい面白いけど、なんでこんなことやってるんだろう?ってなります。

本書には、こんなことが書いてありました。

こんな小さな缶でのどの渇きを癒せると思うな、翼を手に入れるためにレッドブルを飲め。つまり、商品の働きについては、何1つ説明しようとせず、代わりに、イメージ、価値、イデオロギーを心に訴えかけてくる。


うーん、心に訴えかけてくるかなあwwwww

そのへんはわかりかねますが、この本、面白かったです。レッドブル創業者のディートリッヒ ・マテシッツの伝説はすごいです。P&Gで歯磨き粉のマーケティングをやっていた男がなぜドリンクの会社を作って成功したのか。わりとエキサイティングなストーリーでした。


レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか
ヴォルフガング ヒュアヴェーガー
日経BP社
2013-11-06




--次回予告
「abrAsusの新作を1週間使ってみて」